ピンセットこれくしょん

ピンセットサロンは使用禁止です

【ピンこれ】Dumont 5 Carbon steel 学生の頃に初めて買った炭素鋼製ピンセット

【ピンセットこれくしょん】手持ちのピンセットを一本ずつ紹介していくシリーズ

第2回は学生の頃に初めて買ったピンセットです。

 

Dumont社製5型Carbon steel素材 テンション計測値105g

 ※テンション値は計測の仕方や個体によって差があります。参考程度のものです。

f:id:pincet_salon:20160929100019j:plain

 

 大学の学部1年生(いまから17年くらい前!)の頃に、当時は渋谷にあった志賀昆虫普及社で初めて買ったピンセットです。たしか4000円くらいして、まず値段に驚いた記憶があります。アルバイトのお給料が入った直後で気が大きくなっていたこともあって、迷わず購入しました。

 

 Dumont(デュモン)社はスイスのピンセットの老舗で、精密ピンセットの世界トップメーカーです。精密ピンセットは時計製造・修理に使われるものを、ほかの分野でも流用しているのが現状です。スイスの複数のメーカーはこの分野で他国の追随を許さない技術を保有し、日本のメーカーは残念ながら遠く及びません。とくにDumontは形状やそれぞれ特性のちがう素材をつかって多様なピンセットを作っています。

 

 この5番と呼ばれる形状は、保持部から細い先端部が伸びていて、ピンセットの中でも最も鋭い先端部をもっています。顕微鏡の下で行う作業などでは、このような形状のピンセットが視野を妨げることがなく、使いやすいのです。

 また、Carbon steel(炭素鋼)の素材は、日本刀と同じような焼き入れのなされた鋼のことで、非常に硬いのが特徴です。炭素鋼製のピンセットの先端は、ごく細く鋭く研ぎあげても掴む対象に負けて曲がりにくいので、昆虫学分野では顕微鏡下で行う解剖作業などで使われます。弱点は腐食しやすく、すぐに錆が出てしまうことです。また、磁気を帯びやすい(磁性が強い)ので、精密機械をいじる分野などでは敬遠されることがあります(形態観察を目的とした昆虫の解剖では磁性が問題になることはほとんどない)。

 人生で初めて自分のお金で買ったこのピンセットは、いまでも大切に使っています。少し短くなってきてしまい、適切な研ぎ方を知らない頃の使用歴が悔やまれます。

【ピンこれ】Fontax 1 Taxal ずっと腰袋に入れているお気に入りのピンセット

【ピンセットこれくしょん】手持ちのピンセットを一本ずつ紹介していくシリーズ

第1回はお気に入りのピンセットです。

 

Fontax社製1型Taxal素材 テンション計測値 92g

 ※テンション値は計測の仕方や個体によって差があります。参考程度のものです。

f:id:pincet_salon:20160927181810j:plain

 手の一部と言っていいほどのお気に入りで、常に腰袋に入れている使用頻度の最も高い一本です。日常生活から昆虫標本作りまで、私のピンセット仕事の8割くらいはこれ一本でこなせます。

 先端は少し太めにして角を落とし、鏡面になるまでコンパウンドで磨いてあります。

 

f:id:pincet_salon:20160927181813j:plain

 Taxalは耐腐食性と炭素鋼にも匹敵するという先端硬度を両立した理想的な合金であるものの、使用されているのはInox素材(日本でいうとステンレス)の本体に溶接された先端部だけです(写真参照、写真のピンセットは5番型)。それが逆に功を奏しているのか、絶妙なコシのやわらかさも実現しています。

 Fontax社は非常に高い品質を誇るピンセットメーカーでしたが、残念ながら2010年に事業閉鎖してしまいました。いまでは市場在庫もほぼ底払いされている状況で、入手は困難です。

 使用頻度の高いこの1型は、品薄になりかけた頃に10本ほどまとめて買いました。摩耗や紛失により5年に1本くらい更新するので、私が死ぬまでの分は確保したことになります。でも、、、何本かは気前よく人にあげちゃったりして目減りしました。

 

以降、手持ちのピンセットの紹介は【ピンセットこれくしょん】で書いていきます。でも省略形の【ピンこれ】でggったらあかん!谷九のもっと高いお店が出てきます。

© 2016 NAGASHIMA, Seidai 本ブログに掲載された文章・画像等の著作権は特に断りのないかぎり著者にあります.無断転載・転用を禁じます.